ワインレポート

【赤ワイン】いつかは飲みたいと思っていた「5大シャトー」。味わいはまさに感動でした。

ワイン好きなら誰もが憧れるワイン「5大シャトー」。フランス メドック地区 格付け第1級の5つのシャトーのことを呼びます。

フランス ボルドー ”5大シャトー”
  • シャトー ラフィット ロートシルト
  • シャトー ラトゥール
  • シャトー ムートン ロートシルト
  • シャトー マルゴー
  • シャトー オーブリオン

高級と呼ばれる赤ワインは世界に数多くありますが、大きくボルドー系とブルゴーニュ系の2つに分けることができます。ボルドー系、つまりカベルネ・ソーヴィニョン主体の赤ワインで頂点に立つのが、5大シャトーです。

どれも1本10万円以上するワインです。熟成を重ねたもの、グレートヴィンテージなどは高級レストランで100万円以上することも珍しくありません。

いつかは飲んでみたいと思っていたはぐれメタルのような(逆に分かりずらい?)ワインを飲むことができたので、その興奮をお伝えしたいと思います。

シャトー ラトゥール |AOC ポイヤック

産地|ボルドー メドック地区 ポイヤック村

フランス ボルドーの中でも高級ワインが生み出されるメドック地区。大西洋に向かって流れるガロンヌ河の左岸に位置し、水はけのよい砂礫層(小石、砂、砂利の混合土)の土壌は、河によってピレネー山脈や中央山塊から運ばれてきたものです。砂礫層は”カベルネ・ソーヴィニョン”にとって最高の土壌です。石が転がっていてとても良い土壌に見えないのですが、ワインは肥沃な大地では良いブドウが育たないんです。

メドック地区の中でもさらに良質なワインが生み出されるのがポイヤック村です。5大シャトーのうち実に3つがポイヤック村(ラトゥール、ラフィット ロートシルト、ムートン ロートシルト)です。

強靭なタンニンがもたらす深遠な味わいは世界中どこを探してもないと言われます。

タンニンが強靭ゆえ、長期の熟成が必要になります。若くして飲むとタンニンがギシギシして、酸味も尖り、ワインの持ってるポテンシャルを幾分も味わうことができません。長期熟成した5大シャトー、時が織りなすドラマがワインを世界唯一の存在に変えていくのです。

生産者|シャトー ラトゥール

生産者の名前がワイン名になっています。ボルドー メドック地区 格付けワインのほとんどはワイン名が生産者名(シャトー 〜)になっています。

ラトゥールのスタイルとしてよく言われるのが、”常に最高の品質、力強く、荘厳”です。ワインはその年の気候によって味わいが大きく異なりますが、ラトゥールはその中でも最高品質のワインを安定的にリリースする生産者として認知されています。

加えて、セカンドワイン、サードワインになると品質が当然落ちていくのですが、ラトゥールはその差が少ないと言われています。妥協なきワイン造りを実践しているのでしょう。

シャトー ラトゥール 1992年

ブドウ品種は、カベルネソーヴィニョン70%、メルロ25%、カベルネフラン 3%、プティ・ヴェルド2%です。

1992年はボルドーとしては、それほどよいヴィンテージとは言われていません。この難しいヴィンテージで最高のワインをつくるため、ラトゥールでの収穫は例年より遅らせ、ブドウの厳しい選別が行われたと言われています。

が、しかし!

やはり5大シャトー、30年の熟成を経た味わいはこれまで飲んだ赤ワインの中で紛れもなくNo1

ワインレビュー

色合いは、全体的にレンガ色。香りは紅茶、きのこ、枯れ葉と茶色系のニュアンスでとてもエレガント。味わいはタンニンが溶け込みなめらかで、口の中いっぱいに香りが広がります。飲み込んだ後も口中に幸せな余韻が長く続きます。

香りをかいだ瞬間、某テレビ番組のガクトのように「ニヤッ」としたと思います。果実のフレッシュさはなく、紅茶やキノコ、枯れ葉など枯れたニュアンスが出てきて、複雑に絡み合っています。とんでもないワインということだけは分かります。飲まなくてもわかるんです。

味わいは、カベルネ・ソーヴィニョンのガツンとした力強さから、タンニンが溶け込んだエレガントな液体に昇華しています。

自分個人としては、カベルネ・ソーヴィニョンもピノ・ノワールも熟成していくと、同じ方向に行くような感覚です。若いうちは全然異なる味わいですが、カベルネ・ソーヴィニョンは熟成するとこなれて口あたりがまろやかになり複雑な香りとなります。ピノ・ノワールは熟成することで妖艶な香りをまとい力強さが増していくような感じなので、熟成すると似てくるんだと思います。

色はこんな感じ。エッジがレンガ色に見えるのが熟成したワインの特徴です。

シャトー ラトゥール 1992

生産地:フランス ボルドー ポイヤック村
品種:カベルネソーヴィニョン70%、メルロ25%、カベルネフラン 3%、プティ・ヴェルド2%
価格:約10万円(2023年11月現在)
香り:紅茶、きのこ、枯れ葉
味わい:タンニンが溶け込みなめらか、アフター長くエレガント
点数:5.0

とても幸せな瞬間でした。

同じ生産者の同じヴィンテージでも、飲むタイミング、それまでの保存状況、などで味わいが全然異なると言います。それこそ自身の年齢や体調によっても感じ方は異なります。

今回、20年以上前に購入された方が自宅セラーで寝かせておいたものだったので、落ち着いた環境で静かに熟成が進んだ良い状態でした。

ワインは「一期一会」。もう2度と味わえないこの時だけの香り・味わいを、大切な人たちと共有できる喜び、これがワインが人を虜にするんだと思います。

熟成した本格的なワイン、皆さんも特別な時にぜひ飲んでみてください!