ワインのギモン

【ワインのギモン】ワイン1本つくるのに必要なブドウはどれくらい?

ワイン1本にどれくらいのブドウが使われているか、みなさんご存知でしょうか?

ワインは他のお酒と異なり原料はブドウのみで、原料以外の水などは一切加えられていません。そこで気になるのが、「ワイン一本つくるために、一体どれくらいのブドウが必要なんだろう」そんなギモンです。

今回は、そんな知らなくてもな〜にも困りもしないギモンですが、勝手にわかりやすく解説していきます! 高級ワインがなぜ高いのかということにも触れていますので、ぜひ最後までご覧になってください。

では、さっそくいってみましょう!

ワイン1本あたりのブドウ収量

さっそくですが、結論から言います。

ワインボトル1本(750ml)に必要なブドウの量は、一般的に約1.4kgから1.8kgのブドウが必要と言われています。ワインに対して、大体2倍くらいが目安ですね。ブドウ一房が150gとすると、10〜15房くらい入っているイメージでしょう。

もちろん、ワインの種類やスタイルによって異なります。

たとえば、極甘口の貴腐ワインは、貴腐菌によってブドウがレーズンのような状態となり、そこから得られる果汁は凝縮された濃厚なものになります。それによって極上の甘口ワインがつくられるのですが、その反面、ブドウから得られる果汁は少なくなるのでより多くのブドウが必要になります。

高級ワインはなぜ高い?

その理由のひとつは、畑から得られるブドウ収量を抑えたワインづくりをするからです。それはなぜか?

ブドウの品質を向上させるためです。極端な例で言うと、一本のブドウ樹に5房実ったブドウと1房実ったブドウとでは、一房実ったブドウの方が断然旨味が凝縮されることになるのです。

当然、同じ広さの畑からできるブドウの量は5分の1になり、ワインの量も比例して減ることになります。しかし、旨味が凝縮されているブドウから作られるワインの品質は素晴らしくなり、価格も高くなるのです。

なお、収量を減らすことは、生産者にとって大きなリスクです。その年の気象条件や病害などで、品質の良いブドウができなかった場合は大きな損失を被ります。手間暇かけてのブドウ栽培や長年培った醸造技術や設備など、小規模生産者ではなかなかできないことではあります。

高級ワインが高い理由にはまだまだ他の要因もありますが、ブドウ収量がそもそも少ない、あえて少なくしていると言うことを知っているだけでも、値段が高いのにはそれなりの理由があると理解することができます。

ワイン畑の広さを表す単位「ha(ヘクタール)」

ワイン畑の広さを表す単位としてよく登場するのが「ha(ヘクタール)」です。

1haは「10,000㎡(100m×100m)」

う〜ん、いまいち実感がわかないですね。サッカーのピッチが0.7ha、野球場の両翼がだいたい100mなので野球場を正方形にした感じがちょうど1haですね。少し実感わいたでしょうか。

では、1haの畑には何本くらいのブドウ樹が植えられているでしょう?

ブルゴーニュの特級クラスの畑では1haに10,000本位のブドウの樹が植樹されます。一級・並級クラスですと5,000本から7,000本位の植密度と言われています。

「ん? 特級クラスの方が本数が多い?」

そうなんです。ここがややこやしい所ですが、本のブドウ樹になるブドウ収量は少なくした方が美味しくなるのに、ブドウ樹の本数は多い方が美味しくなるのです。

ブドウ樹同士の植樹間隔が狭まるほど、樹同士の競争が激しくなり、葉はより光を求め上へ伸び、根はより地中深くへと張られ土中のミネラル分を多くすい上げるようになります。そうすることで、さまざまな地層から栄養素が実に集まり、より濃くておいしいワインが出来る訳です。

では、本数増やせばいいかというと、そうでもないんです。

10,000本とすると、植樹間隔は1mです。その場合、トラクターなど重機が入ることができません。つまり、栽培から収穫まで人力で行う必要があり、膨大なコストと時間がかかるわけです。生産性が悪いんです。

高級ワインは、「手摘み」と呼ばれる人力による収穫を行うのは、品質の悪いブドウを選果してワインに入らないようにしたり、ブドウを傷つけたりしないようにすることを目的とします。しかし、より美味しいブドウにするために植樹間隔を短くして、重機を使う前提の植樹間隔にしていないというのも理由の一つです。

作業効率よりも品質を追求しているということですね。

まとめ

  1. ワイン一本にはブドウ10〜15房入っている。ただし、ワインのスタイルによって異なる
  2. 高級ワインは、品質向上のため一本のブドウ樹になるブドウの量を抑える
  3. 1ha(野球場くらい)には、特級クラスの畑で10,000本位、一級・並級クラスですと5,000本から7,000本位の植密度
  4. 高級ワインには、それなりの理由がある

 

以上、参考になれば嬉しいです。それでは、楽しいワインライフを!