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ワインレポート

【ワイン会参加レポート】熟成ワインがたまらない「春旬を味わうワイン会」

ワイン会参加レポートです。「春旬を味わうワイン会」は、まさに五感で季節を感じる贅沢なひとときでした。熟成を重ねた珠玉のワインたちが、旬の味わいとともにテーブルを彩りました。では、ご紹介していきます!

春旬を味わうワイン会

①【泡】ペリエ ジュエ グランブリュット NV

産地:フランス シャンパーニュ 品種:PN40 PM40 CH20 生産者:ペリエ ジュエ

『ペリエ ジュエ』は1811年創業の老舗シャンパーニュ・メゾンで、繊細でエレガントなスタイルと、アネモネのボトルデザインのベル エポックが有名ですね。1846年には世界初のブリュット・シャンパーニュを生み出すなど、革新性も特徴です。スタンダードワインといえる『グラン ブリュット』は、シャンパーニュ規定熟成期間の2倍である36カ月の瓶内熟成を経た高品質なシャンパーニュで、メゾンのスタイルと伝統を体現しています。

購入されたのが5〜6年前ということで、熟成期間の3年を足すと9〜10年の年月を経過したシャンパーニュということになります。

テイスティングメモ

ゴールドがかった輝きのあるイエロー。細かくて繊細な泡が次々と現れてきます。香りの第一印象はすりおろしたリンゴ。熟成したシャンパーニュに出てくる香りです。洋梨、白桃に白い花の香りも微かに。酸は豊かで、熟成がもたらすブリオッシュやバニラのようなコクのある深みと複雑味、旨みが素晴らしいバランス。

点数:4.5(5点満点)

「スタンダードキュヴェでもこれだけおいしいのか」と唸りたくなるほど美味しかった。ワインはクラスも大事ですが、とにかく熟成によりワインのポテンシャルが最大化されるというのをあらためて実感した。ペリエ ジュエ、これまではあまり飲んでこなかったけど、期待を大きく上回る味わいだった。初っぱなから感動。

※ワイン会は3時間くらい続きましたが、最後までフレッシュな印象が変わらなかったのがこれまたスゴイ。。

十勝マッシュルームのポタージュ。キノコの旨みがハンパない。熟成シャンパーニュと最高のペアリングじゃないか。。

②【白】グリューナー・ヴェルトリーナー フランツ・ヒルツベルガー ローテス・トール フェーダーシュピール 2016

産地:オーストリア 品種:グリューナー・ヴェルトリーナー 生産者:ヒルツベルガー

ヒルツベルガー醸造所は、オーストリアの世界遺産ヴァッハウ渓谷にあるFalstaff誌5つ星評価の名門ワイナリーで、代々伝わる伝統と技術を守りながら、個性豊かで原産地のテロワールを忠実に表現した純粋なワイン造りを追求しています。

ドナウ川北岸の急斜面にあるシュピッツ村で13世紀からブドウ栽培を続け、現在は当主フランツとその家族が中心となって運営。ブドウはすべて手摘みで行い、畑ごとの個性を活かすために厳格な剪定や選果をします。補糖は一切行われず、自然に発酵が止まるまで発酵させます。自然発酵・伝統的な大樽熟成という手法で高品質なワインを生み出しています。

それにしても、ワイン名が長い・・長すぎて覚えられないよ。。

テイスティングメモ

若干ゴールドがかったイエロー。白桃、リンゴの蜜、ハチミツの香り。でもパワフルじゃなく、爽やかなんです。これが不思議。さわやか酸味とミネラルが上質でエレガント。熟成による旨みもしっかり出てて素晴らしい。

点数:4.5(5点満点)

これまで飲んできたグリューナー・ヴェルトリーナーはなんだったのかと思いたくなるくらい美味しかった。言い方は悪いけど、「特徴がないのが特徴」とさえ思っていた。大きく反省。やはり、熟成による旨みが大きいんだと思う。いい造り手のワインは「今飲んでおいしい」じゃなく、「将来、ブドウ本来の力が発揮される」ように丁寧に作り込まれてるんだと思う。評価は数十年後にならないとけど構わないぶれない志しは、文化というか、芸術にすら感じる。

北九州小倉合馬筍 南部鳥コンフィ 台湾凍頂烏龍茶 クレソン リゾット。筍の苦味と食感が心地いい。繊細な味わいの料理に熟成シャンパンとグリューナー・ヴェルトリーナーと。至福のひととき。

③【白】クロ・ド・ラベルジュリー ニコラ・ジョリー 1992

産地:フランス ロワール 品種:シュナンブラン 生産者:ニコラ・ジョリー

ニコラ・ジョリーは「ロワールのモンラッシェ」と称されるフランスを代表する白ワインの造り手です。フランスで初めてビオディナミ農法を導入し成功させたことで知られ、「ビオディナミの伝道師」とも呼ばれています。

元金融マンのニコラ・ジョリー氏は1976年に家業のワイン造りに転身。当初は他の生産者同様、ワインコンサルタントのアドバイスを受けて除草剤や化学肥料を使用していましたが、畑に昆虫がいなくなり、土壌も明らかに変質しているのに気づいた彼は、1980年代から当時は非常識とも言える非効率なビオディナミを実践し畑を甦らせると同時に、ブドウの持つポテンシャルを最大限に引き出す造りを現在まで続けています。彼が所有するサヴニエールの特級畑クレ・ド・セランは、12世紀から続く歴史ある単一所有区画(モノポール)で、火山性シスト土壌と高樹齢のシュナン・ブランから、生命力に満ちた辛口白ワインが生まれます。

彼の造るワインは、補糖や添加を行わず、自然酵母で発酵、最低限の介入で仕上げられ、硬質なミネラルと美しい酸、熟成による複雑なアロマを持つ力強くエレガントなスタイルが特徴です。

おそらく、シュナンブランで世界一美味しいワインを造るのがニコラ・ジョリーでしょう。

テイスティングメモ

輝きのあるゴールド。これでフィルタリングしていないのだから不思議です。香りはなんと貴腐ワインです。ハチミツっぽい感じも。口に含むと、ワインの持つ旨みエキスの凝縮感が口中を満たします。酸味、ミネラル、旨み、熟成感がハンパなく上の方で調和してます。エキスがとても強いのに、エレガント。とにかく素晴らしい。

点数:4.9(5点満点)

人生2度目のニコラ・ジョリーでしたが、前回はビンテージが若かったせいか美味しかったけどここまで感動しなかった。やはり、時間の経過がワインに魔法をかけたのでしょう(ポエム笑)。

加えてすごかったのが、前菜から肉まで全ての料理にペアリングしたこと。これは初めての経験。シャンパーニュと同じく、会の最後まで変わらずエレガントだった。すごすぎる。。

岩見沢青空ファーム アスパラ 旬菜 発酵和牛エビクリーム。アスパラはメインディッシュになるくらいの存在感とボリューム。春のお恵みに感謝。シャンパーニュ、グリューナー・ヴェルトリーナー、ニコラジョリー、マコン 全てにペアリング。

④【白】マコンベルゼ ドメーヌ・ルフレーヴ 2016

産地:フランス ブルゴーニュ 品種:鋭根 生産者:ドメーヌ・ルフレーブ

ドメーヌ・ルフレーヴは、ブルゴーニュの銘醸地ピュリニー モンラッシェの名門ドメーヌであり、世界屈指の白ワインの造り手として知られます。ルフレーヴは世界に名を轟かせるモンラッシェなど名だたる高級ワインをリリース一方で、高品質なワインをより多くの人に楽しんでもらいたいという想いから、マコンの地で2005年から手頃な価格のワイン造りを開始。1990年代からビオディナミ農法を導入し、1997年には全畑で実践。セラーや醸造も自然を活かす設計・伝統的手法を守り、新樽使用率を抑えて果実味を大切にしています。

味わいは、柑橘や白桃、ブリオッシュ、ナッツの香りが調和し、繊細な酸とフローラルな風味、余韻の長さが魅力。まさに“気軽に楽しめるルフレーヴ”を体現した1本です。

テイスティングメモ

イエローゴールド。柑橘や白桃、ブリオッシュ、ナッツの香り。キレイな酸とミネラル感があるが、、、ニコラ・ジョリーの後に飲むとあきらかに迫力不足。ワイン自体の持ってるエネルギーが違うというか。。美味しいんだけど、ニコラ・ジョリーがすごすぎた。

点数:4.0(5点満点)

普通のワイン会だったら主役を張れるくらいのワイン。それが霞むくらいのラインナップ。自分の舌が贅沢にな理すぎていることを感じつつ、物足りなさを感じる贅沢さよ。

苫前しまエビ 竹中ポワロー アスピック マスタード。しまエビの甘さとマスタードの辛さがいいバランス。白全般といい。

なめた鰈ポシェ シュプレーム。キノコの出汁がしっかり染み込んだなめた鰈の美味しいこと。

⑤【赤】シャンボール ミジュニー 1er ダニエル・モアン・ユドロ 2003

産地:フランス シャンボール・ミュジニー 品種:ピノ・ノワール 生産者:ダニエル・モアン・ユドロ

幻のドメーヌ、モワンヌ・ユドロの希少ワイン

2009年に後継者不在で閉業した名門ドメーヌ「モワンヌ・ユドロ」。その畑はルロワやロベール・グロフィエなど一流ドメーヌに引き継がれ、品質は今も高く評価されています。現存するワインは蔵出しの熟成古酒のみで、今後新たに造られることはありません。貴重すぎます。。

テイスティングメモ

若干エッジにレンガのニュアンスがあるものの濃い色調のルビーレッド。第一印象は紅茶。それにチェリーの果実。味わいは想像より遥かに力強い。シャンボールってこんなに力強かったっけ?20年以上熟成してなお力強く、果実の若々しさも感じる。スゴイ液体だ。まだ熟成できるぞ。少し時間経ってから香りがさらに広がり、たまらない。

点数:4.5(5点満点)

⑥【赤】ボーヌロマネ オーシャンペルドリ ペルナン・ロサン 1987

産地:フランス ヴォーヌロマネ 品種:ピノ・ノワール 生産者:ペルナン・ロサン

惜しまれつつ引退した名手、ペルナン・ロサンの幻のプライヴェートワイン

ヴォーヌ・ロマネの名ドメーヌ「ペルナン・ロサン」は、2000年ヴィンテージを最後にオーナーのアンドレ・ペルナン氏が高齢で引退。翌2001年には所有する6.8haの畑とワイン蔵をドメーヌ・ペロ・ミノに売却しました。ペルナン氏は1974年創業以来、ヴォーヌ・ロマネやシャンボール・ミュジニーなど著名畑を所有し、当時としては先進的な減農薬栽培(リュット・レゾネ)と遅摘みによる完熟ブドウの使用で高評価を得ていました。

人工酵母不使用、低新樽率、2年がかりの伝統的な醸造法で造られたワインは、豊かな果実味と力強い骨格、長い余韻が魅力。あのルロワも認め、今もフランス国内に熱狂的ファンを持つ希少なワインです。市場に出回るのは2000年以前のヴィンテージに限られ、今や入手困難な“幻のブルゴーニュ”となっています。

テイスティングメモ

エンジがかった熟成感のあるルビーレッド。香りはとても強く、紅茶や皮革の熟成香。果実の香りはほとんど感じない。味わいは香りほど強くなく、クリーンな印象。。と思ったのは最初だけ。時間が経つにつれ香りの広がりと共に味わいに力強さが宿ってくる。不思議すぎる。シャンボール・ミュジニーに負けたかなと思ったけど、ただ眠ってただけでした。出汁の旨みが溢れ出すたまらない液体でした。

点数:4.6(5点満点)

江別三元豚 キャベツ 蕗のとう。料理の写真はワインに向こう側。単独で撮り忘れた。

⑦【赤】chレオヴィル ポワフレ サンジュリアン 1975

産地:フランス ボルドー 品種:カベルネ・ソーヴィニョン主体 生産者:chレオヴィル・ポワフェレ

サン・ジュリアンの名門、レオヴィル・ポワフェレ

メドック格付け第2級に属する「レオヴィル3兄弟」の一つであるシャトー・レオヴィル・ポワフェレは、かつて一つの領地だったレオヴィル・ラス・カーズ、レオヴィル・バルトンから分かれ、1840年に誕生しました。1979年にディディエ・キュヴリエが所有者となってからは、セラーの刷新や新樽比率の増加、厳しい選果、ミシェル・ロランの助言などにより品質が飛躍的に向上。2000年以降、全ヴィンテージでパーカーポイント90点以上を獲得する安定した評価を受けています。

評論家ロバート・パーカー氏も「ポワフェレの土壌はサン・ジュリアンの2級シャトーの中でも最も優れ、メドック全体でも屈指の赤ワインを生み出す力がある」と絶賛。今や、サン・ジュリアンを代表する実力派シャトーの一つとして高く評価されています。

テイスティングメモ

レンガがかったガーネット。香った瞬間美味しいを確信。おいしい飲み頃の熟成ボルドーに出てくる紅茶、なめし革、コッペパン、土、えんぴつの香り。とても香り豊か。味わいは旨みが凝縮し、タンニンは溶け込みとても滑らか、体に染み入る美味しさ。そして熟しした書カベルネ・ソーヴィニョンはとてもエレガント。感動のグラス。

点数:4.5(5点満点)

なんと熟成50年。もうすごすぎて言葉が出てきません。味もへたれてなく、味わいもバッチリ。ただ、あえて言わせていただくと、トップクラスの熟成ボルドーで時折感じる洗練さと背筋の伸びる感覚はそこまで感じなかった。ただ、超贅沢な言い分で、十分すぎるくらい美味かったのは間違いない。

エゾ但馬牛 赤ワインソース。噛めば噛むほど旨味の出てくる牛肉に、数々の高級ワインを煮詰めたソースが贅沢すぎ。熟成ボルドーと最高のペアリング。

⑧【甘】北海道ワイン ミュラートュルガウ 完熟遅摘 1991

産地:北海道 鶴沼 品種:ミュラー・トラウガウ 生産者:北海道ワイン

直轄農場の鶴沼ワイナリーで30年以上前に造られたワイン。1991年当時は、日本ではまともにワインの味わいを感じとることのできる人は今よりずいぶん少なかったと思う。そんな中でこれだけ高品質なワインを北海道で造ってたかと思うと感動する。

北海道では当時冷涼な気候からフランスの国際品種はうまく育たず、耐寒性の強いドイツ系が多く造られていました。ミュラー・トラウガウもドイツ系です。ブドウがダメになるリスクを犯しながらも完熟するまで収穫を遅らせ、上質な甘さが残るワインに仕上げた。

テイスティングメモ

淡いレモンイエロー。香りは閉じていたが、時間の経過とともに香りが開き、完熟の洋梨、ハチミツ、ナッツのような香り。味わいは口当たり滑らかで果実が熟したような甘さ。

点数:3.7(5点満点)

桜ケーク ハチミツアイスクリーム。最後まで春を感じた。ソーテルヌと会うだろうな。

まとめ

この日のワインたちは、どれも「時間」というとても貴重な熟成を経たものでした。熟成によってまろやかになった香りや、ふくよかで奥行きのある味わい。ひと口ごとに、「ああ、この一本には何年もの月日が流れていたんだな」と、しみじみ感じずにはいられませんでした。

今ではなかなか出会えないヴィンテージも並び、それぞれに物語があって、どれも本当に貴重な存在。長い時間をかけて大切に育てられたワインを、こうしてワインが好きな人たちと一緒に味わえる機会は、やっぱり特別ですね。

ワインって、すぐに答えが出るものじゃないけれど、ゆっくり向き合うほどに、その奥深さや楽しさがじんわりと広がってくるものなんだなあと、改めて実感しました。

春の旬とともに味わった“熟成の美しさ”。過去からの贈りものを受け取るような、心温まる夜になりました。