前回に引き続き、主催ワイン会「ゆるっと楽しむ!世界が広がるワインセッション 」の後半をレポートしていきます。
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ゆるっと楽しむ!世界が広がるワインセッション 〜産地の特徴まるわかり イタリア編〜

【赤】テッレ デル バローロ バルバレスコ 2017
産地:ピエモンテ州 品種:ネッビオーロ100% 生産者:テッレ デル バローロ
「テッレ デル バローロ」は、ピエモンテの小規模なブドウ栽培農家が集まり、高品質ワインを安定的に生産・販売するために設立された組合です。すべての畑で有機栽培、清澄と濾過は行わず、5000Lと2500Lの2種類の大樽で12ヶ月熟成。伝統的なスタイルを守りながらも、近代的な醸造技術も取り入れている。飲み頃となったバルバレスコの複雑な香りと味わいを堪能できる一本。
イタリア北部、ピエモンテ州にあるワイン産地「バルバレスコ」。産地名であると同時に、ワイン名にもなっています。バルバレスコで生まれる赤ワインは、「イタリアワインの王」と呼ばれるバローロと同じネッビオーロ単一品種から造られ、しばしば「バローロの妹」と称される存在です。バルバレスコの魅力は、そのエレガンスと繊細さにあります。バローロに比べ標高がやや低くタンニンの抽出も穏やかなため、より柔らかく、華やかな香りと上品な酸味が特徴。長期熟成を必要とするバローロに比べ飲み頃が早く来るのもメリットの一つ。

レンガの色調が入ってきた淡いガーネット。紅茶や出汁など熟成香が主体的で、チェリーなど赤系果実の果実感も残っている。香り自体は開いていて、複雑で妖艶。柔らかいタンニンと熟成による旨みが高次元でバランス。余韻は長く、いつまでも目を閉じて余韻心地よさを楽しみたくなる。まさに飲み頃の心地よいワイン。
点数:4.6(5点満点)
【赤】ピエモンテ州|テッレ デル バローロ バローロ 2017
産地:ピエモンテ州 品種:ネッビオーロ100% 生産者:テッレ デル バローロ
イタリア北部、ピエモンテ州に位置する名高いワイン産地「バローロ」。ここで造られる赤ワインは、ネッビオーロ種を用い、「イタリアワインの王」と称される存在です。ブルゴーニュの銘醸ピノ・ノワールと双肩をなすエレガント系赤ワインの代表的存在です。バローロの魅力は堂々たる風格と力強さにあります。標高が高く、冷涼な気候のもとでゆっくりと熟すネッビオーロは、厚みのあるタンニンと凛とした酸を備え、長期熟成によって真価を発揮します。熟成が進むと、タールやバラ、トリュフ、ドライプラム、紅茶といった複雑で荘厳な香りが花開きます。その味わいはより滑らかに、そして奥深く変化していきます。
「テッレ デル バローロ」は、ピエモンテの小規模なブドウ栽培農家が集まり、高品質ワインを安定的に生産・販売するために設立された組合です。すべての畑で有機栽培、清澄と濾過は行わず、5000Lと2500Lの2種類の大樽で法定熟成期間を超える24ヶ月熟成。骨格がしっかりあり余韻も長く、長期熟成が可能です。バルバレスコと飲み比べてみましょう!

ルビーレッド 熟成はあまり見られない。チェリー、ストロベリーなど赤い果実中心で、香り自体が力強い。紅茶のニュアンスも少しあるが、飲み頃はまだ先の印象。バルバレスコと印象は似ているが骨格の頑丈さが違う。でもいま時点で好みはバルバレスコ。あと2〜3年後に飲みたい1本。
点数:4.3(5点満点)
【赤】バンフィ ブルネッロ ディ モンタルチーノ 2017
産地:トスカーナ州 品種:サンジョベーゼ100% 生産者:バンフィ
イタリア屈指のワイン名産地として知られるトスカーナ州は、サンジョベーゼ種からつくられる赤ワインの銘醸地。キャンティやキャンティ クラシコが世界的にも有名です。そんなトスカーナの中でも、知る人ぞ知る高貴な赤ワインのひとつが「ブルネッロ・ディ・モンタルチーノ」。州南部のモンタルチーノ村で造られるこのワインは、トスカーナを代表するサンジョヴェーゼの特別なクローン「サンジョヴェーゼ・グロッソ(通称ブルネッロ)」を100%使用し、長期熟成によって深い複雑さを生み出します。同じトスカーナの名ワイン「キャンティ」はサンジョヴェーゼ主体ではあるものの、他品種のブレンドが許されています。軽やかで親しみやすい味わいを持つのに対し、ブルネッロは単一品種であるにもかかわらず、骨格があり熟成に耐える重厚なスタイルが特徴です。法律で最低5年(リゼルヴァは6年)の熟成が義務付けられ、そのうち少なくとも2年は樽熟成されます。
バンフィ社はモンタルチーノの丘陵地に広がる壮大な自社畑と、古城のようなワイナリーに近代的な醸造設備を持ち、イタリアでもトップクラスのワイナリーです。熟成はスラヴォニアオークの大樽とフレンチオークの小樽を組み合わせて2年以上、その後さらに3年以上瓶内熟成してからリリースされます。赤系果実やドライハーブ、バルサミコ、タバコ、バニラといった香りが折り重なり、飲むたびに表情を変える奥行きのある味わいが魅力です。

ダークチェリーレッドの外観。チェリー、ラズベリー 赤系果実、バラの花、ローズマリーなどハーブ 複雑で香り自体も開いている。力強さよりもエレガント系で洗練された味わい。繊細で細やかなタンニン、豊かな果実味。そこに抜群の旨みとコクが追いかけてくる。余韻も長く心地よい。
点数:4.5(5点満点)
【赤】マァジ コスタセラ アマローネ デッラ ヴァルポリチェッラ クラシコ 2018
産地:ヴェネト州 品種:コルヴィーナ主体 生産者:マァジ
イタリア北部、ヴェネト州のアマローネ・デッラ・ヴァルポリチェッラ(通称 アマローネ)の最大の特徴はは、収穫したブドウを数か月間陰干し(アパッシメント)して水分を飛ばし、糖度と旨味を凝縮させること。これにより、非常にリッチで高アルコール(15%前後)、熟したドライフルーツやスパイス、ビターチョコレートを思わせる複雑な香りが生まれます。主要品種はコルヴィーナ。陰干しと長期熟成により、重厚でコクがあり複雑ながらも滑らかなタンニンが特徴で、イタリアを代表する高級赤ワインの一つです。
マァジ 社は高い技術力を誇り、1950年代には単一畑(クリュ)を導入し、現代のヴェネトにおける醸造革命の先駆けに。ヴァルポリチェッラ地区の中でも、最高の土地と言われる区画にある自社畑「コスタセラ」のブドウを使用。9月末から10月初旬に収穫されたブドウを1月下旬まで陰干し(アパッシメント)し、糖度と旨味を凝縮させてからワインを醸造。完璧なアパッシメントが造りだす濃密で甘美な味わいは、他に類を見ない味わいです。

紫が買った濃い色調のルビーレッド。レーズン、完熟プルーン、コーヒー、タバコ、チョコレートなど複雑な香り。口に入れた瞬間、果実が凝縮した濃厚でコクがあるまろやかな液体。それでいて、酸がしっかりしてるため味がボケてこない 奥にりんごの蜜のような果実由来の甘さも感じる。余韻は長く、いつまでも心地よい。アマローねとして言うことないが、あえて言うと熟成させてから飲んでみたい。
点数:4.4(5点満点)
【緊急企画】値段10分の1のワインとアマローネをブラインド比較
急遽考えた企画。選ばれたのは、アマローねと同じくヴェネト州の「カッレセッラ・ロッソ・ヴェネト 2021」。小売価格は1188円(税込)とアマローネの約10分の1。メルロー主体で、コルヴィーナ、ヴェロネーゼのブレンド。一部に陰干ししたブドウを使用し、木樽で熟成させた濃厚ワインです。
参加者のみなさんにブラインドで出して、好みを聞くと6:2で1000円台のワイン!
ただ、高い方はと聞くと、アマローネの方が6人と逆転。つまり、高い方がわかりつつも好みは1000円台のワインと言う想像していなかった結果に。
いやー、実にオモシロイ。ワインを学び始めた頃に人の味覚・好みはそれぞれだから、決して自分の好みを押し付けないことを教えられたのを思い出します。

紫が買った濃い色調のルビーレッド。レーズン、完熟プルーン、バニラなど甘やかな香り。濃厚でコクのある味わいだがシンプル。アマローネとの一番の違いはバニラの主張が強すぎること。酸が少なく甘さがいつまでも続くので、飲み疲れる印象。1杯でいい。ただ1杯で勝負するなら、この甘さを好む人がいるのはわかる。価格以上のおいしさは感じるワイン。
点数:3.8(5点満点)
さいごに

イベントコンセプトのおさらい
- 世界を一口で:代表産地をまとめて体験、味の違いが一気にわかる!
- 質問し放題:初心者の「今さら聞けない」も遠慮なくOK👌
- 仲間づくり:ワイン好き同士つながるきっかけに🍷🤝
産地にフォーカスし、産地を表すワインを堪能できました。参加者の皆さんの疑問や質問にもその場でお答えし、楽しみながらもゆるっと学べることを目指したワイン会でしたが、楽しみながらいい会になったと思います。
あと個人的には、やはり「イタリアいいぞ」と。フランスに比べると価格がリーズナブルなのもいい。食事に合うのもいい。
迷路のようにたくさんあるワインの中から、自分の経験を活かして産地の特徴をよく表したワインをこれからもナビゲートしていきたいと感じる夜でした。