ワインのトリセツ

読めば納得!ワインラベルの読み方のコツをわかりやすく解説

多くのワイン初心者が最初にぶつかる壁の一つが「ラベルの読み方」ではないでしょうか。

  • ラベルに書いてある情報はなんなの?
  • 横文字多すぎてよくわからない
  • ワイン名はどこからどこまで?
  • 筆記体やめてほしい
  • これフランス語なの?英語なの?

こんな悩みはないでしょうか?何を隠そう自分が昔ワインを好きになった当初に感じた疑問やモヤモヤです。ラベルにいろいろな情報が書かれていて、何が何を表しているのかわからなかったり、ワイン名が生産者の場合や畑名の場合もあったりして、多いに混乱ました。

でも、ちょっとしたコツがわかれば、ラベルからワインの味わいを想像できるようになり、ワインを買うときにラベルを見て自分の好みのワインを探すことができるようになります。

この記事では、ワイン初心者がぶちあたる「ラベルの読み方」のコツについて、徹底的にわかりやすく解説していきます。ぜひ最後まで読んでいってください。

最初に少しだけ自己紹介させてください。

札幌在住サラリーマンの「ノムタメ」です。エンジニアの一方で、日本ソムリエ協会ワインエキスパート兼ワイン検定講師をやっています。セレブではない普通の会社員だからこそ身近でリアルな情報を、ワインが好きだけどあまり詳しくない初心者の方のために、わかりやすく発信しています。

参考にしていただければ嬉しいです。では、さっそくいってみましょう!

ラベル(エチケット)に書かれていること

ラベルはエチケットとも呼ばれます。どちらも使われるので、同じ意味だと覚えておいて大丈夫です。本記事では、「ラベル」で記載していきます。

「ラベルの記載内容は、国や地域によって異なる」

「えーっ」て感じですよね。せっかくやる気になったのに「なんかめんどくさそう」。気持ちはわかります。

でも考えてみてください。ワインは世界各国さまざまな国でつくられ、歴史も文化もそれぞれ異なります。それでは世界で同じになるわけはありません。バラバラで当然なのです。ここではまず、国や地域によって異なるということだけ知っておけば十分です。

ラベルの情報

ラベルには主に以下のような情報が書かれています。

  • 原産国・産地
  • 生産者
  • ブドウ品種
  • ヴィンテージ(ブドウが収穫された年)
  • 原産地呼称(AOC)
  • 容量
  • アルコール度数

ラベルの役割の一つは、他のワインと区別するためです。もう一つ重要な役割として、ラベルの情報によって、ワインの味わいが想像できることにあります。

ワインは農産物と言われることもあるくらい、原料のブドウの品質がワインの味わいに大きく左右されます。なので、どこの国・地域でつくられたのか、ブドウ品種はなんなのかなど、詳細な情報が記載されています。

オールドワールドワインとニューワールドワイン

次にご紹介するのは、オールドワールド(旧世界)とニューワールド(新世界)です。

オールドワールドとニューワールドで、大きく記載方法が異なるからです。

オールドワールド・・・ヨーロッパ諸国

ニューワールド・・・ヨーロッパ以外の国・地域

オールドワールドは、古くからワインが造られているヨーロッパ諸国のことを呼びます。フランス、イタリア、スペイン、ドイツ、東欧諸国などです。

ニューワルドは、大航海時代以降にワイン造りが広まったヨーロッパ以外の国や地域のことを呼びます。アメリカ、チリ、オーストラリア、ニュージーランド、南アフリカ、日本などです。

オールドワールドのラベル

基本的にオールドワールドのワインは、「格式」を重んじます。

特にAOC(原産地呼称)と呼ばれる制度によって、法的に生産地域や生産方法、原料のブドウ品種など厳格に決められてワインが造られます。

オールドワインのラベルの特徴として、ブドウ品種が記載されないことが多いです。これが初心者にとって辛いところNO.1ではないでしょうか。

上に書いた通り、AOCによってブドウ品種まで規定されています。つまり、厳格な基準をクリアしたAOCを名乗ることによって、「ブドウ品種は言わなくてもわかるよね」ってことです。

なんかつれないようですが、逆にいうとAOCがわかればワインの味わいが想像できるようになるため、AOCの知識があるととてもわかりやすいのです。

AOCについて解説すると、それだけで1記事になるボリュームなので、また別の記事でわかりやすく解説していきたいと思います。

ボルドーワインのラベルの読み方

ボルドーワインで大事なのは、シャトーの「格付け」です。

高級ワイン産地である左岸のメドック地区、右岸のサンテミリオン地区などでそれぞれの地区でシャトーに格付けされています。シャトーの格付けがワインの価格に直結していいると言っても過言ではないでしょう。

シャトーの具体的な格付けについては、また別の記事で解説していきたいと思いますが、ここではボルドーではシャトーの格付けが重要ということだけ頭の片隅に入れていただければとおもいます。

①CHATEAU LAFITE ROTHSCHILD(シャトー・ラフィット・ロートシルト)
生産者(シャトー)名であり、ワイン名。

②PAUILLAC(ポイヤック)
AOC ポイヤック。(ポイヤック村)

③2019
ヴィンテージ(ブドウが収穫された年)

④13%
アルコール度数13%

⑤750ml
容量

どうでしょうか?品種もわからなければ、どれが生産者名で、どれがAOCなのかわからない。格付けも何級か書いてあるわけではありません。

でも、ソムリエやワインラバーがこのラベルを見るとひれ伏します。言わずと知れたボルドー5大シャトーのワインだからです。新しいヴィンテージでも1本10万円以上、古いヴィンテージなら1本100万円以上することもあります。

このように、前知識がないとわかりずらいところがオールドワールドのとっつきずらさではあります。

ここからがちょっとしたコツです。

仮にシャトー名を知らなくても、AOCがポイヤックであることから、ある程度高級ワインであることは想像できるのです。

一般的に、AOCが「ボルドー」のように広域なものから、「ポイヤック村」のようにAOC対象地域が狭くなるにつれワインは高価格になっていくことも覚えておくととても便利です。

服で例えると、「Made in JAPAN」より「Made in TOKYO」、「Made in GINZA」の方がなんとなく高級な感じしませんか?

AOCの対象地域が狭いほど高級になっていく

例)ボルドー地方・・・広い
ポイヤック村・・・狭い

AOCの表記方法について、「Appellation d’Origine Contrôlée」のように書かれています。赤字の「d’Origine」のところにAOC名が入ります。

「Appellation PAUILLAC Contrôlée」

これでAOC名は「ポイヤック」とわかります。

ブルゴーニュワインのラベルの読み方

ブルゴーニュワインで大事なことは、ワインが造られた「場所」です。

ボルドーではシャトー(生産者)であったのに対し、ブルゴーニュワインでは「村」や「畑」に格付けされています。

ブルゴーニュでは、赤ならピノ・ノワール、白ならシャルドネと単一品種のワインがほとんどです。そのため、テロワール(ワインがつくられる自然環境のこと。気候、土壌、地形、標高など)がワインの味わいに与える影響がとても大きいのです。

そのため、良いブドウがつくられる「村」や「畑」に対して格付けされているのです。

対してボルドーは、異なるブドウ品種がブレンドされることがほとんどです。ブレンド比率などシャトー独自の技術もワインの味わいを決める要素になるため、シャトーに格付けされていると考えられるでしょう。

①THIBAULT LIGER-BELAIR(ティボー・レジェ・べレール)
生産者名

②NUITS-SAINT-GEORGE PREMIER(1er)CRU
AOC名

③LES SAINT GEORGES(レ サンジョルジュ)
畑名

④2011
ヴィンテージ

⑤13 ALC
アルコール度数

⑥750ML
容量

AOC名に「PREMIER(1er) CRU|プルミエ クリュ」と記載がありますが、ブルゴーニュでは、4つの格付けに分かれています。

◇グランクリュ(特級畑)
ロマネコンティ、シャンベルタン、クロ・ド・ヴージョなど

◇プルミエクリュ(1級畑)
レ・ザムルーズ、クロ・サン・ジャック、レ・ショームなど

◇村名
ヴォーヌロマネ村、ジュヴレシャンベルタン村、ニュイサンジョルジュ村など

◇地方名
ブルゴーニュ

上位2つが「畑」で、「村名」、「地域名」と続いていきます。ボルドーと同様に、AOC対象が狭くなるにつれて格付けが上がり、ワインの値段も高級になっていきます。

ここでも「AOCの対象地域が狭いほど高級になっていく」法則は、共通しています。

ブルゴーニュもAOCの対象地域が狭いほど高級になっていく

例)ブルゴーニュ地方・・・広い
ロマネコンティ畑・・・狭い

ニューワールドのラベル

ニューワールドのラベルはシンプルでわかりやすいものが多いです。ニューワールドワインは歴史が浅く、ワインに格付けなどもほとんどありません。

生産者名や畑名を前面に出しても味わいのイメージがそもそもつきづらいこともあり、ブドウ品種や生産地、ワイン名がシンプルにわかりやすくなっています

チリワインのラベル

①LAZULI(ラズリ)
ワイン名

②Valle del Maipo,Chile(チリ マイポヴァレー)
産地名

③Cabernet Sauvignon(カベルネ・ソーヴィニョン)
ブドウ品種

④2014
ヴィンテージ

シンプルでわかりやすいです。ただAOCがないので、チリのカベルネ・ソーヴィニョンとは分かったけどそれ以上の想像がつかないのが、逆にデメリットです。

ちなみに生産者は、ラベルの上部にあるシールに「VINA AQUITANIA」です。自由ですね。

ラベルから味わいが想像しにくい一方で、「オーパスワン(※カリフォルニアワイン)」のように一度ワイン名を認知されると、指名買いがおきるほど人気は高騰し、品薄状態によってフランスワインを凌ぐ高級ワインとなる可能性もあります。

ニュージーランドワインのラベル

①CLOUDY BAY(クラウディベイ)
ワイナリー名かつワイン名

②NEW ZEALAND(ニュージーランド)
産地

③Pinot Noir(ピノ・ノワール)
ブドウ品種

④2018
ヴィンテージ

こちらもやはり、シンプルです。AOCがないのは同じですね。

ニューワールドのワインはシンプルで品種名などわかりやすい反面、ラベルから味わいが想像しにくいため、生産地と品種それと価格を頼りに買うことが多くなります。

オールドワールドより、全般的にお価格はリーズナブルなので、気に入ったワインを見つけたらついたくさんストックしておきたくなります。

まとめ

今回は、ワインのラベルの見方を解説しました。最後に需要なポイントをまとめます。

・ラベルの情報からワインの味わいを想像できる

・AOC(原産地呼称)を最低限知ることが必要

・AOCが狭くなるに従って高級になる

ワインは世界各国でつくられ、同じブドウ品種でも味わいが全然異なります。

また同じ畑でつくられたワインでも生産者が違ったり、ヴィンテージが違うだけでワインの味わいが異なりますし、飲むタイミングによっても変わってくるものです。

まさに一期一会の出会いです。

別に高級じゃなくてもいいんです。気兼ねなく過ごせる仲間とワイワイ飲んだワインでも、失恋して飲んだ苦い味でも、後から振り返ればたいていのことはあんな時代もあったなと振り返れるものです。

数10年後に、当時飲んだワインとビンテージも同じなんてこともあるでしょう。ワインの熟成と自分のこれまでの人生がリンクするのです。

ワインの香りや味わいが思い出に彩りを与えてくれます。

これからもみなさんのワインライフに役に立つ記事を書いていきたいともいます。最後までご覧くださいありがとうございました。