ワインのトリセツ

【わかりやすく解説】ボルドーワインの特徴とおすすめワイン

ワインを好きじゃない人も聞いたことであるであろう「ボルドー」。ブルゴーニュと並ぶ世界でもっとも有名なワイン産地ともいえるでしょう。

ボルドーはフランス南西部にある地域のことを言います。ワインのラベルにはフランス語で「Bordeaux」と書かれています。自分は最初、これがボルドーという意味すら知りませんでした。「ボー・・デックス?」みたいな何を指す言葉かすらわからなかった記憶があります。苦笑

本記事では、ボルドーワインの特徴をワイン初心者の方にもわかりやすく解説いたします。本記事を読むことで、なんとなく知っているボルドーワインについて、ブドウ品種や味わい、産地としての特徴をしっかり学ぶことができます。

また、後半では自分が飲んで美味しかったおすすめボルドーワインを価格帯別にご紹介しますので、ワイン選びの参考にしていただければ幸いです。

初に少しだけ自己紹介させてください。

日本ソムリエ協会のワインエキスパート兼ワイン検定講師をやっている「いた」と申します。宅飲みこそワインを一番コスパよく楽しむ方法です。ワイン初心者のみなさんにこそコスパよく気軽に宅飲みワインを楽しんでもらえるよう情報発信していますので、ぜひ楽しんでいってください。

 

参考にしていただければ嬉しいです。では、さっそくいってみましょう!

ボルドーワインの特徴

 

ボルドーワインは、力強くかつエレガンスなワインです。カベルネ・ソーヴィニョン主体の力強くしっかりした味わいの赤ワインがつくられます。最初のうちは、「ボルドーワイン=カベルネ・ソーヴィニョン」くらいのイメージでも良いと思います。

ボルドーワインの特徴は大きく2つ、「複数のブドウ品種をブレンドすること」、「シャトー(生産者)に格付けされる」ことが挙げられます。

複数のブドウ品種をブレンド

多くのボルドーワインは、複数のブドウ品種をブレンドしてつくられます。ボルドー地方の中でもカベルネ・ソーヴィニョンを主体とするメドック地区や、メルローを主体とするサンテミリオン・ポムロール地区など、生産地によって特徴が変わります。

シャトー(生産者)に格付け

ボルドーでは、シャトー(生産者)に格付けされます。それぞれの地域でそれぞれに格付けがありますが、世界的に有名なのがメドック地区の格付けです。「5大シャトー」と呼ばれる5つのシャトーは、世界のワイン好きの憧れです。

シャトーはフランス語で「城」です。ワイナリーはまさにお城のような立派な建物です。歴史上、大富豪や貴族が所有してきているので、立派な建物と醸造設備のあるワイナリーとすることができたのです。

ボルドーワインの特徴

◇複数のブドウ品種をブレンド

◇シャトー(生産者)に格付け

 

ボルドーの代表的なブドウ品種

ボルドーの代表的なブドウ品種は以下の通りです。

◇代表的なブドウ品種

赤:カベルネ・ソーヴィニョン、メルロー、カベルネ・フラン

白:ソーヴィニョン・ブラン、セミヨン

左岸と右岸による主体品種の違い

ボルドー地方は大きく「左岸」と呼ばれる地区と「右岸」と呼ばれる地区にブドウ生産地がわかれます。ボルドー地方を縦断する形で大西洋に流れ込むジロンド川の左側にあるのが「左岸」、右側にあるのが右岸です。

左岸のメドック地区やグラーブ地区では、カベルネ・ソーヴィニョンが主体でメルロやカベルネ・フランがブレンドされます。ボルドーの一流ワインといえば、左岸メドック地区の5大シャトー(シャトー・ラフィットロートシルト、シャトー・ラトゥール、シャトー・マルゴー、シャトー・ムートンロートシルト、シャトー・オーブリオン)が世界に名を轟かせています。

一方、右岸のサンテミリオン地区やポムロール地区では、メルロ主体でカベルネ・ソーヴィニョンやカベルネ・フランがブレンドされるか、メルロ単体品種でのワインとなります。特にポムロール地区のシャトー・ペトリュス、シャトー・ルパンなどは、メルロ単体で作られるワインで5大シャトーに引けを取らないワインです。

もちろん味わいにも違いがあります。左岸はカベルネ・ソーヴィニョンの力強さ、右岸はメルロのコクや厚み、まろやかさが特徴です。ただ、いずれも世界最高峰の美味しいワインであることに間違いはありません。

◇左岸と右岸の代表的なワイン生産地

左岸:メドック地区、グラーブ地区、(ソーテルヌ地区)

ブドウ品種|カベルネ・ソーヴィニョン主体

代表的なワイン|シャトー・ラフィットロートシルト、シャトー・マルゴーなど

右岸:サンテミリオン地区、ポムロール地区

ブドウ品種|メルロ主体

代表的なシャトー|シャトー・ペトリュス、シャトー・シュヴァルブランなど

 

ボルドー有名生産地区

ボルドーの有名生産地区をご紹介します。

左岸|メドック地区

世界最高峰のカベルネ・ソーヴィニョンのワインがつくられます。

メドック地区は南の「オー・メドック」と北の「メドック」に分かれ、オー・メドックには6つの村名AOCがあります。村名AOCには後述する格付けシャトーが列挙しています。

◇メドック地区の村名AOC
・サンテステフ
・ポイヤック
・サンジュリアン
・リストラック・メドック
・ムーリス
・マルゴー

太字は特に有名な村です。これらの村名AOCワインなら、ほぼほぼ美味しいワインでしょう。ぜひ覚えておきたいAOCです。

メドック地区の格付け

メドック地区の格付けは、ボルドーを代表する格付といってもいいでしょう。1級から5級まで、全61シャトーが格付けされています。

全61シャトーの中でも1級に格付けされている5つのシャトーこそ「5大シャトー」と呼ばれるシャトーです。ちなみに、たとえ5級でも格付けされていること自体ものすごいことです。ボルドーワインで間違いなく美味しいワインが飲みたいのであれば、この61シャトーから選べば、まず99%間違いないでしょう。それくらい、すごいワインたちです。

厳選!メドック格付けシャトー

【1級(5シャトー)】
ポイヤック村|ラフィット・ロートシルト
ポイヤック村|ラトゥール
ポイヤック村|ムートン・ロートシルト
マルゴー村|マルゴー
グラーブ地区|オーブリオン
※グラーブ地区から例外的に選出されている

【2級(14シャトー)】
サンテステフ村|コス・デストゥルネル
ポイヤック村|ピション・ロングウィル・コンテス・ド・ラランド
サンジュリアン村|デュクリュ・ボーカイユ
サンジュリアン村|レオヴィル・ラス・カーズ

【3級(14シャトー)】
サンテステフ村|カロン・セギュール
マルゴー村|パルメ

【4級(10シャトー)】
サンジュリアン村|タルボ

【5級(18シャトー)】
ポイヤック村|ランシュバージュ

青字のシャトーは「スーパーセカンド」と呼ばれ、2級以下に格付けされているにもかかわらず、高い評価を得ています。ちなみに、スーパーセカンドの「セカンド」は「2級以下だけどもスーパーなワイン」という意味合いで、ファーストラベルの品質には満たないセカンドラベルワインのセカンドとは意味合いが異なります。

メドックの格付けは、1855年のパリ万博博覧会の際に制定されて以来、1973年にシャトー・ムートン・ロートシルトが2級から1級に昇格された以外、変わっていないのです。故に近年どんどん品質向上していても格付けは昔のままということがあるのです。

1級の5大シャトーは別格として、現在美味しさと格付けが比例しているかというと必ずしもそうとは言い切れない部分があります。なので、スーパーセカンドと呼ばれる実力銘柄を知っておくことで、ワインセレクト力がさらに上がるでしょう。

左岸|ソーテルヌ地区

左岸はカベルネ・ソーヴィニョンだけではありません。ソーテルヌ地区は「貴腐ワイン」の産地です。貴腐ワインとは、極甘口のデザートワインです。「ソーテルヌ」、ハンガリーの「トカイ」、ドイツの「トロッケンベーレンアウスレーゼ」世界3大貴腐ワインと呼ばれ、世界最高級の甘口ワインです。

ソーテルヌ地区の格付けでは、27シャトーが格付けされています。中でも、ソーテルヌの格付けにおいて唯一「プルミエ・クリュ・シュペリュール」にランクされている「シャトー・ディケム」は別格です。一切の妥協を許さず手間ひまかけて作られたワインは、貴腐ワインの最高峰です。

またシャトー・ディケムは、超長熟のワインとしても知られています。「収穫後100年も飲み頃が続く」と言われ、世界で最も熟成可能なワインでしょう。

貴腐ワインを飲む機会はそんなにないと思いますが、デザートに合わせることで真価を発揮するように思います。前菜からメインまで料理に合わせてワインを楽しんだあとにデザートをいただくことも多いと思いますが、コーヒーや紅茶を合わせてももちろんおいしいですが、ワイン好きであればぜひ貴腐ワインにチャレンジしてみてください。

デザートの甘さに普通の白ワインや赤ワインでは、酸っぱく感じるのであまり良い組み合わせではありませんが、甘口ワインはデザートの甘さとちょうどよくペアリングとしてくれます。

右岸|サンテミリオン地区

メルロー主体のクのある優しいワインがつくられます。左岸のカベルネ・ソーヴィニョン主体の力強さと対照的に、まろやかで包み込むような優しさがあり、それでいて香り高くとても素晴らしいワインがつくられます。

ちなみに自分は数あるワインの中でも右岸サンテミリオンのワインがとても大好きです。

サンテミリオン地区の格付けは、プルミエ・グラン・クリュ・クラッセが14シャトーグラン・クリュ・クラッセが64シャトーが格付けされています。プルミエ・グラン・クリュ・クラッセのなかでもさらに特別な「A」がつくシャトーがあります。

特徴的なのは、10年ごとに格付けが見直されるということです。直近では2022年9月に見直されました。そこでは長きに渡りプルミエ・グラン・クリュ・クラッセAに君臨してきた「シャトー・オーゾンヌ」と「シャトー・シュヴァルブラン」が、審査基準を理由に格付けから辞退しました。2012年にプルミエ・グラン・クリュ・クラッセAに昇格した「シャトー・アンジェリュス」は、共同経営者が格付けを巡って利益相反があったとして有罪判決となったのを受けて格付けから撤退してます。

プルミエ・グラン・クリュ・クラッセ(2022年9月現在)

【プルミエ・グラン・クリュ・クラッセA】
・シャトー・フィジャック(2022年9月「A」に昇格)
・シャトー・パヴィ

【プルミエ・グラン・クリュ・クラッセB】
・シャトー・ボーセジュール・ベコ
・シャトー・ボーセジュール・デュフォー・ラガロース
・シャトー・ベレール・モナンジュ
・シャトー・カノン
・シャトー・カノン・ラ・ガフリエール
・シャトー・ラルシ・デュカス
・シャトー・パヴィ・マカン
・シャトー・トロロン・モンド
・シャトー・ヴァランドロー
・クロ・フルテ
・シャトー・ラ・モンドット
・シャトー・トロットヴィエイユ

【番外編|元プルミエ・グラン・クリュ・クラッセ<A>】
・シャトー・オーゾンヌ
・シャトー・シュヴァルブラン
・シャトー・アンジェリュス

右岸|ポムロール地区

サンテミリオンと同様に、メルロ主体のワインを生産します。サンテミリオンの7分の1程度の栽培面積と小さいながらも、メルロ種の世界最高峰ワインの産地です。

ポムロール地区には格付けは存在しませんが、シンデレラワインと呼ばれるスーパーなワインがあります。シンデレラワインとは、それまでほとんど無名だったワインがある日突然脚光を浴びて、非常に高値で取り引きされるようになったワインのことです。

突然脚光を浴びる理由としては、著名なワイン評論家に高く評価されたり、ワイン雑誌で絶賛されたりなどいくつか挙げられます。

小規模な生産者が多く、人気が沸騰してワインが市場から消えるため、ワインの価格も急騰します。5大シャトーを上回る価格で取引されることも少なくありません。

ポムロールのシンデレラワイン

◇シャトー・ペトリュス
1889年パリ博覧会で金賞を受賞したことからスターワインの仲間入り。ポムロール北東部に位置し、周囲に比べても粘土質が強く、メルロから最高のワインがつくられます。

◇シャトー・ルパン
1982年にワイン専門誌「ワインアドヴォケイト」で100点満点をとったことでスターワインの仲間入り。畑はわずか2ha。生産量は年間7000本と限られているため、希少性も相まって非常に高価格で取引されています。

その他覚えておきたいキーワード

セカンドラベル・サードラベル

格付シャトーでは、「ファーストラベル」と呼ばれるシャトーを代表するワインの他に、樹齢が若いためファーストラベルとしての基準には満たないなどの理由で、「セカンドラベル」「サードラベル」と呼ばれるワインをラインナップしていることがあります。

ファーストラベル同様の設備や手間ひまなどかけているにもかかわらず、価格は大きく抑えられています。一流シャトーの味わいを比較的リーズナブルに味わえるので、とてもおすすめです。ワインそのもののポテンシャルに違いはありますが、その分熟成期間を要さず早めに飲めるなどメリットもあり、ちょっと贅沢な日の家飲みワインとしても重宝します。

「5000円以下で買える」おすすめボルドーワイン

【マルキ・ド・カロン・セギュール(メドック サンテステフ村)】

メドック格付け3級「カロン・セギュール」のセカンドラベルワインです。

カベルネ・ソーヴィニョン主体で、味わいはボルドーらしい力強く、コクのあるワインです。約4500円の価格でボルドー 一流の味わいを堪能することができます。

エチケットにハートが描かれているのは、ファーストラベル同様ですね。ちなみにカロンセギュールはその昔「カロン」というシャトー名だった時代に所有していたセギュール伯爵が、次にような言葉を残しています。

「ラフィットでもラトゥールでもワインは造っている。だが私の心はカロンにある」

格付け第1級のシャトー・ラフィット、シャトー・ラトゥールも所有してい他にもかかわらずです。それだけ愛情を注いだシャトーということなのでしょう。

「10000円以下で買える」おすすめボルドーワイン

【ヴィルジニー・ド・ヴァランドロー(サンテミリオン)】

サンテミリオンのプルミエ・グラン・クリュ・クラッセBに格付けされる「シャトー・ヴァランドロー」のセカンドラベルです。

メルロ主体で、味わいはとてもふくよか、コクがあり優しい味わい。。自分がまだインをよく知らない頃に飲んで一番感動したワインなので、おすすめさせていただきました。

美味しいメルロってどんな味わいなのか知りたい人にはぜひ飲んでもらいたいワインです。

 

さいごに

本記事では、ボルドーワインの特徴とおすすめワインをご紹介させていただきました。今後、他のワイン産地についてもご紹介記事をUPしていく予定です。記事がアップされたら、ぜひ見てみてください。

最後までご覧くださりありがとうございました。

素敵なワインライフを!