「シェリー」というワインを知っているでしょうか?
いわゆる酒精強化ワイン(フォーティファイドワイン)と呼ばれるもので、ワインにアルコール度数を高めるブランデーが加えられたお酒です。
今回は、世界3大酒精強化ワインの1つであるシェリーについて、わかりやすく解説していきます。後半には、辛口タイプの「マンサニーリャ」と熟成タイプの「オロロソ」を飲み比べてみたので、合わせてレビューいたします。
クセの強いワインが好きな人なあなた!好奇心旺盛なあなた!
ぜひ最後まで見ていってください。それではいってみましょう。
世界3大酒精強化ワイン「シェリー」
世界3大酒精強化ワインには、シェリーの他にポートワイン、マディラワインがあります。
世界3大酒精強化ワイン
- ポートワイン(ポルトガル)
- マディラワイン(ポルトガル領 マディラ島)
- シェリー(スペイン アンダルシア地方)
シェリーの産地
シェリーはスペイン南部 アンダルシア地方に位置する3地区でのみで造られます。
1)ヘレス地区
2)サンルカル デ パラメダ
3)エル プエルト デ サンタマリア
世界各地で愛飲されるお酒ですが、スペインのの特定3地区以外ではつくられないというのはいささか驚きです。
シェリーのブドウ品種
シェリーは、白ワインにブランデーを加えて造られます。ブランデーも原料はブドウ(ワインの蒸留酒)ですので、原料はブドウということになります。
シェリー使用可能品種は3種のみで、単一品種のブドウからつくられます。
シェリー使用可能品種(白ブドウ)
1)パロミノ(辛口)
2)モスカテル(甘口)
3)ペドロヒメネス(極甘口)
シェリーのつくりかた|カビが美酒を生む
その年に収穫されたブドウから20度前後の高い温度で発酵させ、白ワインをつくります。この白ワインを樽の7分目くらいまで入れ、その年の晩秋までわざと空気に触れさせさ保存します。
すると、ワインの表面に白い膜(フロール)とよばれる酸膜酵母(カビの一種)ができます。このフロールがワインと空気の接触を防ぎ、ゆっくりとした酸化を促します。このフロールがシェリー独特の味わいを生みます。
後にブランデーを加えますが、フロールはアルコールに弱いため、ブランデーを多くすると消滅します。すると、ワインは直接空気に触れるためどんどん色がつき、琥珀色のシェリーとなります。ブランデーが少ないと、フロールが残るためワインに空気が触れず、白ワインのような色合いのシェリーになります。つまり、ブランデーを加える量で異なる味わいのシェリーができ上がります。
シェリーの味わい
シェリーには、辛口から極甘口までさまざまな味わいのタイプが存在します。
フィノ(すっきりした辛口/ 白ワイン色)
品種:パロミノ
アルコール度数:15〜17%
ポイント:フロールを残したつくり
マンサニーリャ(すっきりした辛口/ 白ワイン色)
品種:パロミノ
アルコール度数:15〜17%
ポイント:フィノと同じつくり。沿岸部が産地。塩味あり
アモンティリャード(熟成した辛口/ 琥珀色)
品種:パロミノ
アルコール度数:16〜22%
ポイント:熟成の途中でフロールをなくすつくり
オロロソ(熟成した辛口で複雑/ 琥珀色)
品種:パロミノ
アルコール度数:17〜22%
ポイント:フロールをなくして熟成させるつくり
ペイルクリーム(中甘口/ 白ワイン色)
品種:パロミノ
アルコール度数:15〜22%
ポイント:フィノまたはマンサニーリャに極甘口シェリーを加えるつくり
クリーム(中甘口/ 濃い琥珀色)
品種:パロミノ
アルコール度数:15〜22%
ポイント:オロロソに極甘口シェリーを加えるつくり
モスカテル(極甘口/ 濃い琥珀色)
品種:モスカテル
アルコール度数:15〜22%
ポイント:モスカテルを干しブドウにして糖度を高めて白ワインをつくる
ペドロヒメネス(極甘口/ 濃い琥珀色)
品種:ペドロヒメネス
アルコール度数:15〜22%
ポイント:ペドロヒメネスを干しブドウにして糖度を高めて白ワインをつくる
辛口「マンサニーリャ」と熟成「オロロソ」の飲みくらべ
では、いざ試飲です。左がマンサニーリャ、右がオロロソです。色の違いがはっきりとしています。
◆オズボーン マンサニーリャ
フィノタイプのシェリーはヘレス地方の各地で造られますが、海沿いの町サンルカールのフィノだけは特別に「マンサニーリャ」と呼ばれています。ここ特有の潮風が新鮮な風味を保ち、シェリーと白ワインの中間のような爽やかさを持っています。アルコール度数15%とさほど高くなく、独特な味わいの白ワインといった雰囲気です。
価格は、ネットで税込1500円以内で買えるお手頃価格のシェリーです。
◆ぺマルティン オロロソ
酸化熟成タイプのシェリー。スペインのワイン法上最低3年以上の熟成期間が必要ですが、 5年以上の熟成を経ています。アルコール度数は18%。色は琥珀色で、香りはナッツやクルミに加え甘い香りが広がります。コクと深みのある味わいです。
価格は、ネットで税込3000円以内で買えるお手頃価格のシェリーです。
まとめ
今回は、世界3大酒精強化ワインの1つであるシェリーについてご紹介しました。後半には、辛口タイプの「マンサニーリャ」と熟成タイプの「オロロソ」をテイスティングしてきました。
シェリー独特の味わいは好みが分かれるところですが、クセのあるお酒が好きな方には是非試してもらいたいです。かくいう自分はその昔大嫌いでした(^_^;) それが今では、独特な味わいが好きになりました。好みは時間とともに変化するものですね。
辛口のフィノやマンサニーリャは、スモークサーモンや生ハムとの相性がバツグンです。
熟成タイプのアモンティリャードやオロロソには、ローストチキンやラムなどの味わい深い肉料理と合わせるのがオススメです。もちろん、シェリー単独で味わうのもアリだと思います。
みなさんのお役に立てればうれしいです。
それでは楽しいワインライフを!