ワインのギモン

自宅でワインをおいしく熟成させよう!

「せっかくのいいワイン、自宅で保管してここぞという時に開けたい」
「どんなワインが熟成に適しているのかがわからない」
「ワインには飲み頃があると聞いたけどいつなの?」
「ワインの価格は右肩上がりなので好きなワインを今のうちに買っておきたい」

ワインを好きになるとこんな悩みが出てくるモノです。本記事では、自宅でのワイン保管方法をご紹介していきます。

この記事を読むことで、ワインを安心して保存できて、数年後に熟成された飲み頃のワインをリーズナブルに楽しむことができるようになります。ぜひ最後までご覧ください!

最初に少しだけ自己紹介させてください。

日本ソムリエ協会のワインエキスパート兼ワイン検定講師をやっている「いた」と申します。宅飲みこそワインを一番コスパよく楽しむ方法です。ワイン初心者のみなさんにこそコスパよく気軽に宅飲みワインを楽しんでもらえるよう情報発信していますので、ぜひ楽しんでいってください。

 

参考にしていただければ嬉しいです。では、さっそくいってみましょう!

ワインの熟成

ワインは熟成することで、さまざまな香りが加わり、味わいも渋みがなめらかになっていきます。良いワインは若いうちの飲んでもそれなりに美味しいですが、持っているポテンシャルをを発揮するのは熟成されてからと言ってもいいでしょう。

ワインの熟成には、ワイン発酵後の樽熟成と瓶詰め後の瓶熟成があります。

樽熟成は、ワイン中の成分を安定させたり、複雑な風味を引き出したりします。いわゆる「樽香」はこの樽熟成の段階でワインに香りがつきます。フレッシュな味わいにしたい白ワインなどは、樽ではなくステンレスタンクで熟成することもあります。

瓶熟成は、瓶詰め後もボトル内の空気とコルクから適度に入ってくる空気に接することよって、ゆるやかに熟成していきます。ワインによっては、瓶詰め後数年間瓶熟成したのち、出荷するものもあります。

本記事でお伝えするのはもちろん、購入後自宅で行う瓶熟成の方法です。

赤ワインは熟成するとどうなるか

赤ワイン中に含まれるアントシアニン(ポリフェノールの一種)や渋み成分のタンニンなどの成分が酸化することで、色合い、香り、味わいに以下のような変化が起きてきます。

◇色合い
濃い紫色、輝きのある若々しい赤から、色味が淡くなり、ディスク(ワインの縁の部分)にオレンジ色が現れてきます。よくテイスティングする時にグラスを傾けてるのは、ディスクが見やすくなるためです。ディスクを確認することでワインの熟成具合がわかるからです。

そこからさらに熟成すると、全体の色合いが落ち着き、そこからレンガ色、マホガニー色などに変化していきます。

紫、赤から茶系統の色合いになっていきます。果実の色中心から、樹や枯れ葉の色合いへ変化していくようです。

◇香り

ワイン中のアルコールや有機酸が酸化することで、熟成香と呼ばれる香りが発生し、複雑さが増します。キノコや土、革製品、タバコなどの香りです。一見、美味しそうに感じないですよね。でも熟成香が加わることでとても魅力的・官能的な香りになります。

果実や花が中心だった香りが、ドライフルーツなど茶色い色合いの香りに変化して行きます。

◇味わい

渋み成分であるタンニンがゆるやかにワインの中に溶け込むことによって、ギシギシした味わいがなめらかで心地よい液体に変わります。

口に含んだ瞬間、なめらかな感覚にうっとりします。

白ワインは熟成するとどうなるか

熟成といえば赤ワインのイメージがありますが、種類によりますが、白ワインも熟成することで美味しくなります

◇色合い

輝きのあるレモンイエローから、黄金色、飴色へと変化して行きます。赤ワインとは逆に色合いが濃くなっていきます。

◇香り

柑橘系のフレッシュな果実や花の香りから、ドライフルーツやハチミツ、干草のような熟成香へ変わっていきます。赤ワイン同様、複雑さが増して優美な香りとなります。

◇味わい

フレッシュな果実から、ドライフルーツやトーストのような味わいへ変化します。酸も穏やかになり、とても落ち着いた優しい味わいになります。

自分の勝手なイメージですが、年齢をを経て魅力を増していく女優の井川遥さんのような雰囲気です。

赤ワインの飲み頃

ワインの飲み頃はいつか?これがなかなか難しいです。ワインの種類によって飲み頃が変わるからです。

まずは、赤ワインの代表的なブドウ品種の飲み頃の目安です。

上から下に向かって味わいがしっかりしたものになっていきます。飲み頃はあくまで目安の期間ですが、味わいの軽いものから力強いものになるに従って、熟成期間も長くなっていきます

まず大事なのが、飲み頃の目安が短いものがあると言うことです。ボジョレー・ヌーヴォーなどは、フレッシュなものを早飲みする前提でつくられているため、熟成にはあまり適しません。これらを熟成させると味わいが逆に落ちていきます。ボジョレー・ヌーヴォーはその年のうちに飲んでしまいましょう!

余談ですが、ボジョレーといえばヌーヴォー(新酒)のイメージが強いですが、ヌーヴォー以外にもたくさんのワインがあります、特にクリュ・デュ・ボージョレと呼ばれる10の村から作られるボジョレーは品質が高く、中程度の重さと味わいになるので、熟成しても美味しくいただけます。

話は戻って、味わいの力強いボルドーのカベルネ・ソーヴィニョンの場合、熟成のポテンシャルがあるものを早く開けてしまうと、渋みや酸味が目立ちあまり美味しく感じられません。しっかりと熟成されて、酸味が落ち着き、タンニンの角がとれてまろやかになった頃に飲むととても美味しいワインになります。

飲み頃に「5〜30年」と幅があるのは、ワインの持ってるポテンシャルによるところが大きいからです。同じボルドーのカベルネ・ソーヴィニョンであったとしても、ブドウ一房になる果実の量を減らして凝縮感を出したり、ブドウのプレスをそこそこでやめて極力えぐみが出ないようにしたりなど、つくり手の思想によっても大きく熟成のポテンシャルが異なるからです。

ちなみに、5大シャトーなど一部の生産者はまさに収量を減らし、ブドウ一粒のポテンシャルを最大限高めたワイン作りをします。手間がかかり生産量が少ない分、ワインの価格は高くなるのですね。もちろん、これまでの実績やブランドも価格には影響しますが。

自分も昔はこのあたりが難しいな〜と感じましたが、今となっては知れば知るほど奥深く、それによって飲む喜びが増していく感じです。

白ワインの飲み頃

続いて、白ワインの飲み頃の目安です。

いかがでしょう?意外と白ワインも熟成できるんです。リーズナブルな価格帯の白ワインは、さわやか・スッキリ系が多いので、そう言う意味では熟成には適しませんが、同じブルゴーニュ シャルドネでもしっかりとした作りのものであれば、熟成することで美味しさが増していくものもあります。

ブルゴーニュでは4つの格付けがありますが、プルミエクリュ以上の格付けワインが熟成することで美味しさをます目安と考えるとわかりやすいかも知れません。

ちなみに格付けは下から、地域名クラス村名クラスプルミエクリュグランクリュの4つです。

自宅でのワイン保管方法

最後に、自宅でのワイン方法についてご紹介します。

数年間、場合によっては10年以上ワインを保管する場合、保存方法は気を使う必要があります。長い年月かけて熟成させたワインを開けた時、劣化してたら目も当てられません。

大事なワインであるからこそ、大事に保管しましょう。

ワインの保存は冷暗で適度な湿度があることが大事です。地下室などがまさにベストな場所ですが、地下室をもっている日本人はごくごく少数のお金持ちでしょう。

おすすめは、ワインセラーです。

ワンセラーにはベルチェ方式とコンプレッサー方式の2つの方式がありますが、おすすめはコンプレッサー方式です。

理由は、購入価格こそベルチェ方式に比べて高いものの、電気代が抑えられるため長い目で見るとお得だからです。くわえて、冷却力が強いので安定してワインを保管することができます。

自分が使ってるワインセラーは、「ルフィエール」と言うメーカーのコンプレッサー式27本式ワインセラーです。7〜8年使ってますが特に故障もなくオススメできるワインセラーです。リビングに設置してますが、稼働音も特に気になることはありません。

特筆すべきは、上下で温度設定を分けられる点です。上段12本を赤ワイン用で13〜14度に設定し、下段12本を白ワイン用に9〜10度にセットしてます。飲みたい時に、赤白それぞれ適温で飲めるところが便利です。

赤白12本ずつ収容できるので、普段飲む用のワインも熟成させたいワインも収容できると思います。さらに最下部には3本斜めに収容できるので、開けたワインも立てかけて収納できる優れものです。

参考までにご紹介させていただきました。

まとめ

本記事では、以下の内容ご紹介させていただきました。

・ワインの熟成
・赤ワインは熟成するとどうなるか
・白ワインは熟成するとどうなるか
・赤ワインの飲み頃
・白ワインの飲み頃
・自宅でのワイン保管方法

みなさんの美味しいワインライフにお役に立てれば幸いです。

最後までご覧いただきありがとうございました!