フランス ロワール地方と聞いて、どんなワインかイメージつくでしょうか?
「ロワールといえば、サンセールのソーヴィニョン・ブランだよね」とか言える人はかなりのワイン通だと思います。
ワイン初心者にとって、ロワールのワインと言われてもピンとこないのではないかと思います。かくいう自分もそうでした。
ロワール地方は広く、白ワインから赤ワインやロゼまでさまざまなワインが造られています。冷涼な気候から造られるワインは、繊細でエレガントです。
ブルゴーニュほど高価じゃないため、繊細でエレガントなワインが好みの人には新たな選択肢の一つとして知っておいて損はありません。
この記事では、ロワール地方のワインについて、特徴、主要なブドウ品種、産地に焦点をあてて、ロワール ワイン初心者にもわかりやすく解説していきます。
▼ロワール ワインの特徴がわかる
▼ロワール ワインの主要な産地がわかる
▼ロワール ワインを自分なりに選ぶことができる
▼自分好みのワインが見つかるチャンス
それではさっそくいってみましょう!
ロワール ワインの特徴
ロワール地方は、フランス北西部に位置しています。北緯47度前後というワイン産地としてはシャンパーニュに次ぐ冷涼な気候です。また、かつての王侯貴族の古城が100以上もある、とても美しい景観の広がる地域です。
①繊細でエレガント
ロワール地方のワインは白ワインから赤ワイン、ロゼワインまで多種多様ですが、味わいは総じて繊細でエレガントです。冷涼な気候から、さわやかな酸味が心地よいワインが多いです。
②変化に富んだスタイル
ロワール地方のワインは、地理的な多様性によりさまざまなスタイルが生み出されます。例えば、シャンパーニュスタイルのスパークリングワインから、フレッシュでフルーティーな白ワイン、ドライでミネラルな白ワイン、軽やかなロゼワイン、軽快でフルーティーな赤ワインなどがあります。また、甘口ワインや貴腐ワインもロワール地方で生産されています。
③ミネラル感
「ミネラル感」と言われてピンとくる人は結構ワインを飲んでる人かと思いますが、ピンとこない人も多い表現の一つがミネラル感。白ワインの味わいによく使われる表現ですが、チョークのようなシャープな感じや、海の塩気などを感じる場合に使われる表現です。ロワール地方のワインは、その土壌と地質の多様性によってミネラル感が与えられます。川の堆積物や石灰岩、頁岩などの土壌は、ワインに複雑さや地元産地特有の風味をもたらします。特にロワール川沿いのワイン地域では、ミネラル感が強く感じられることが多いです。
④リーズナブルな価格帯
ロワール地方のワインは、他の有名なワイン産地に比べて価格が比較的リーズナブルです。このため、繊細なワインが好きな人にとっては、手頃な価格で高品質なワインを楽しむことができます。
以上が、ロワール地方ワインの特徴です。総じて、リーズナブルな価格帯で、繊細でエレガントなワインが多いのがロワール地方のワインです。
ロワール地方の主要ブドウ品種
ソーヴィニョン・ブラン
ソーヴィニヨン・ブランは、ロワール地方で最も広く栽培されている白ワイン用の品種です。特にサンセールのソーヴィニョン・ブランは世界的にも有名で、フレッシュでアロマ豊かなワインを生み出します。
シュナンブラン
ロワール地方は、シュナンブランの世界的に有名な産地です。ロワールの他には、南アフリカやカリフォルニアが代表的な産地です。ロワールでは、トゥーレーヌやアンジュー地方で主に栽培されています。幅広いスタイルのワインを生み出し、ドライな白ワインからデザートワインまで幅広い風味を持っています。
ミュスカデ
ロワール地方は、ミュスカデの代表的な産地です。ミュスカデの白ワインは、柑橘系のフレッシュさとしっかりした酸味が特徴で、さわやかです。ミネラル感もあり、魚介系との相性もバッチリなワインです。
カベルネ・フラン
カベルネ・フランは、ロワール地方で広く栽培される赤ワイン用の品種です。ブレンドされることも多い品種ですが、ロワール地方では単一品種による高品質なワインも造られています。カベルネ・フランは多少冷涼な環境でも完熟が可能で、カベルネ・ソーヴィニヨンと比べると、成長速度も収穫時期も早いため、ロワールの気候に適したブドウ品種です。
ピノ・ノワール
ピノ・ノワールは、ロワール地方で栽培される重要な赤ワイン用の品種です。冷涼な気候から、酸味を生かした繊細でエレガントな赤ワインを生み出します。
ロワール地方の代表的な産地
ロワール地方はフランス北西部に位置し、東西に約1000kmにも及ぶフランス最長のロワール川沿岸に広がる広範囲なワイン生産地です。
ロワール地方は大きく4つの生産地域に分かれています。地中海性気候、大西洋性気候、内陸性気候など、さまざまな気候条件が存在し、それぞれの地域で異なる特徴を持ったワインが生み出されています。
ペイ・ナンテ地区
ロワール川最下流(大西洋側)で、ナント市周辺の地区(ペイ:地区、ナンテ:ナントの)。気候は海洋性気候。ミュスカデ種から造られる辛口白ワインが有名な産地。旨味と高める目的で、「シュール・リー(澱の上で)」と呼ばれる製法が多く採用されています。製造過程で発生した澱をそのまま発酵タンクの底に残し、最短でも収穫翌年の3月1日までワインを寝かせて旨味を引き出します。
アンジュー&ソーミュール地区
アンジュー&ソーミュール地区はペイ・ナンテ地区の東側に位置します。海洋性気候。石灰質土壌はテュフォーと呼ばれます。白はシュナンブラン、赤はカベルネ・フランから多くのワインが造られます。非常に多彩なワインがつくられるのが特徴です。
注目すべきは、白ブドウのシュナンブランです。とてもユニークなブドウ品種で、製法によって辛口ワインにも甘口ワインにもなり、貴腐ワインにもなります。逆に、「シュナンブランはこんな味わい」と言いにくいところが、ソムリエ泣かせの品種でもあります。
AOC サヴニエール
シュナンブランの辛口白、甘口白が有名
AOC ロゼ・ダンジュ
少し甘口のロゼ。ブドウ品種はグロロー
AOC カベルネ・ダンジュ
しっかり目のロゼ。ブドウ品種はカベルネ・フラン、カベルネ・ソーヴィニョン
トューレーヌ地区
アンジュー&ソーミュール地区からっさらに東に行くと、トューレーヌ地区があります。海洋性気候と大陸性気候双方の影響を受けています。白(辛口、甘口)、赤、ロゼ、泡とさまざまなタイプのワインがつくられます。
なかでも、黒ブドウ品種のカベルネフランは要注目です。
AOC ブルグイユ
下流右岸。カベルネ・フランの赤、ロゼ
AOC シノン
下流左岸。カベルネフランの赤、ロゼ、少量の白
AOC ヴヴレ
上流右岸。シュナンブランの白(辛口〜甘口)、極甘口白が有名。
AOC モンルイ・シュル・ロワール
上流左岸。シュナンブランの白(辛口〜甘口)
サントル・ニヴェルネ地区
ロワールで一番東の内陸側にあるのが、サントル・ニヴェルネ地区です。大陸性気候で石灰質土壌。ほとんどが辛口白の地区だが、赤、ロゼも少量生産されています。
注目すべきは、ソーヴィニョン・ブランの辛口白です。ニュージーランドと並び、ソーヴィニョン・ブラン世界2大産地の1つです。
AOC サンセール
地区最大の栽培面積。ソーヴィニョン・ブランの白が世界的に有名。赤、ロゼも少量あり。
AOC プイイ・ヒュメ
ソーヴィニョン・ブランの白のみのAOC。世界的に有名な産地。
AOC カンシー
ソーヴィニョン・ブランの白のみのAOC。
まとめ
今回は、フランス ロワール地方ワインの特徴とブドウ品種、主要な産地についてご紹介しました。
ボルドーやブルゴーニュに比べて知名度は低いですが、冷涼な気候で造られる繊細でエレガントなワインは、世界のワイン愛好家から愛されている地域です。
①繊細でエレガント
②変化に富んだスタイル
③ミネラル感
④リーズナブルな価格帯
続いて、ロワール地方の代表的なブドウ品種です。
- ソーヴィニョン・ブラン(白)
- シュナンブラン(白)
- ミュスカデ(白)
- カベルネ・フラン(黒)
最後に、ロワール地方の代表的な産地です。
ペイ・ナンテ地区
ミュスカデの白ワイン。シュール・リー(澱の上)製法
アンジュー&ソーミュール地区
シュナンブランの白。辛口から極甘口まで
トューレーヌ地区
カベルネフランの代表的産地
サントル・ニヴェルネ地区
ソーヴィニョン・ブランの代表的産地
以上、みなさんのワイン選びの参考になれば嬉しいです。楽しいワインライフを!