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ワインに入っている「アカシアガム(別名アラビアガム)」ってなに?健康に悪いの?

ワインの原料にたまに入っている「安定剤(アカシアガム 別名アラビアガム)」って何か気になったことはありませんか?特に健康面での影響については気になりますよね。

今回はワインにおける安定剤(アカシアゴム)の役割や健康面での影響についてレポートします。

アカシアガム(別名 アラビアガム)ってなに?

アカシアガムは、アカシアという木から出る、“乾いたサバンナの木が生む天然ハイテク素材”。あめ玉みたいな樹液を乾かして粉にしたもの。水に入れるとよく溶けて、とてもサラサラの液体になります。

低粘度で超高機能という独自の物性が、飲料の香りから医薬錠剤の形まで支えています。「自然派多機能素材」として存在感を高めています。

ワインの中でどんな仕事をするの?

結論から言うと、ワインの見た目を悪くする「にごり」や「結晶」を防ぎます。いずれも飲んでも体に害はありませんが、見た目がにごったりザラザラしたりすると「ワインが古い? 傷んだ?」と感じさせてしまいます。

① 「にごり」や「沈殿」をストップ

ワインの中には、いろいろな成分があります。中には、輸送中などにそれら成分が固まって「にごり」や「沈殿」することがあります。アカシアガムは、そのかけらにくっついて囲いをつくり、くっつき合わないようにします。
→ だから にごりや沈殿(しずみ)ができにくい!

② キラキラ結晶(けっしょう)をストップ

冷蔵庫で冷やすと、ときどき白いつぶつぶ(酒石酸の結晶)ができることがあります。アカシアガムは、結晶がそだつ前にやわらかい布をかぶせて動けなくするような働きをします。
→ 見た目がずっときれい!

参考)モトックス
https://www.mottox.co.jp/column/wine/d06

③ 味をまろやかに

ワインの苦味(にがみ)や舌ざわりがとげとげしているとき、アカシアガムはふわふわの毛布みたいに包んで、口あたりをやさしくします。

健康面で問題は?

OIV(国際ブドウ・ワイン機構)では、最大量:0.3 g/L(=30 g/hL)と規定しています。その範囲内であれば、 ワイン安定剤による健康リスクは極めて低く、利点が大きく上回る と評価されています。EUへの輸入はOIV規定を満たしたもののみが許され、EUでのワイン醸造における規定を満たさなければ原産地呼称統制など取得できないため、一部の粗悪品をのぞくほとんどのワインがOIV規定内と考えていいでしょう。

OIVは、フランスに拠点を置き、ブドウ栽培、ブドウ品種、ワイン造りに関する国際的な研究機関です。OIV が定める 30 g/hL の枠内であれば、“最終の保険”として瓶詰直前に一振り──これが世界のワイナリーで定番となっている理由です。

それでも、アカシアゴムが入っていないワインが多いのはなぜか?

現在は健康志向から、ブドウ栽培から醸造の段階まで”できるだけ自然に”、”添加物を最小限に”するのが世界のワイン造りの潮流であることが大きいと思います。そもそも、高酸・低 pH の白ワインや長期樽熟赤ワインは、そもそも必要ない場合が多いです。また、醸造課程においてフィルタリングなどより自然な製法によってワインを安定化させることもできるため、アカシアゴムを使わなくても良いという方が正しい言い方かもしれません。

とくに、大規模量産/輸送距離が長いブランドは、 外観事故を避けるため採用する(保険料として安価)ことが多い傾向にあります。これによって、「アカシアゴムが入ってると品質が低いワイン」というレッテルが貼られているのかもしれません。

まとめ

  • アラビアガムは、にごりや結晶を防ぎ、味をやさしくして、ほんのわずかで大きな働きをする、ワインの「見えないお守り」みたいな存在
  • 日本に輸入されるワインの大半は規定内(OIVで0.3 g/L)のため、健康リスクは極めて低い
  • ワイナリーの 哲学・市場ターゲット・コスト構造・ワインスタイルの総合判断で選択が分かれている